意外な症例:小刻み歩行−Mr.Oの場合
- ayame-harikyu
- 2012年4月22日
- 読了時間: 3分
70歳代後半男性 仮名:Mr.O
身 長:170㎝
体 重:49kg
血 圧:拍動がはっきりと聞き取れないため無記載。
既往歴:脳梗塞、心筋梗塞
その他:心臓ペースメーカー装着。
奥さん同伴。←奥さんがいないと行けない為。
☀️主訴(一番つらい事柄)☀️
肩甲骨間部の痛み。痛くて起床してしまう。
来院時、杖をついて,
すくみ足、小刻み歩行の歩きをしていたので、脳に障害があると思い問診票を確認。
2回脳梗塞を済ませていらっしゃいました。
問診・検査へ
※問診・検査は長いので問題があった事だけ記載。
腱反射:上腕二頭筋反射、トウ骨筋反射は減弱(反応が小)。
ただし、力が入っていたため判断は難しい。
病的反射(正常成人では見られない反射、乳児には見られる)
手掌オトガイ反射:右ー陽性 左ー陰性
触診:圧痛点ー肩甲骨間部上方が顕著。肩甲骨下。腰。
過敏点ー足底
脈診:右・左ー弦虚 左右の尺:弱
舌診:淡紅(赤味がかっている)、 膩苔(苔がべっとりと厚い)
視診:腰が後湾している(前かがみ)
○●○●○●○●用語解説●○●○●○●○
すくみ足:初めの一歩が踏み出しにくい
小刻み歩行:歩幅が小刻みな歩き方
上肢の腱反射: 上腕二頭筋反射、トウ骨筋反射、上腕三頭筋反射、
(3種類) その筋の腱を叩いて腕が挙がれば正常。挙がらなければ頚神経の障害を疑う。
※脳血管障害の場合、 反射は亢進する(挙がり方が急)。
下位の頸神経は腕以外に肩背部も支配している。
手掌オトガイ反射: 手掌の母指球を鍵などで遠外方に向けてこする。
同側のアゴの筋肉に収縮が起こる。
収縮が起こると陽性。 だが、正常でも見られる事がある。
前頭葉、錐体路の障害を指す。(前頭葉、錐体路は中枢神経)
↑運動を担当する場所。
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印象:西洋医学ー背筋の血行障害。
東洋医学ー経気阻滞、腎精不足
原因:腰の後湾の為、上半身に重心がかかる。
姿勢不良、運動不足により血行障害を 起こしたと考えられる。
施術方針:西洋医学ー背筋と頚神経周囲の血行改善。 東洋医学ー疏通経絡、補腎
施術内容:
~初日(1日目)~
針治療ー下位頚椎。肩、肩甲骨間部、腰部、足首。 抜鍼後、吸玉。
施術前、施術後、ベッド上での動きもスムーズではない。
施術後、Mr.O曰く、少し楽になった気がする。
~2回目(3日目)~
前回、施術後、痛みが少し楽になった。 異常な寒さを感じなくなったらしい。
来院前までは サウナのような暑い暖房をつけていたらしいが、
来院後、暖房をつけなくなったとの事。
前回は杖をついて入室したが、 今回は玄関に杖を置いて入室。
血圧を測ってみるとはっきりと拍動を感じる。
針は怖いという事でお灸に変更。 施術部位は同じ。灸の後、吸玉。
施術後、 うつ伏せから腕立て伏せをする感じで スッと機敏に起き上がる。
Mr.O曰く、楽になった。 帰りの歩幅が大きくなっていた。
~3回目(5日目)~
痛みが殆ど感じない、 朝ぐっすり眠れるようになる。
すくみ足、小刻み歩行の症状もまた良くなっていたので、
手掌オトガイ反射をすると、反応が減弱していた。
計6回の施術で終了。
意外な症例とは
① 背中の起立筋(背筋の筋肉)の血行を良くしただけで、
すくみ足、小刻み歩行という脳血管障害の症状まで改善。
もちろん、起立筋を刺激した事によって 脳(+脊髄)の血流は良くなった事は
考えられる が、 あまりにも回復が早すぎるし、効果も顕著だった。
通常、脳血管障害の鍼灸治療は 醒脳開竅(せいのうかいきょう)法が使われる。
また、 脳血管障害は病歴が長いほど 治療効果は低下すると言われている。
境界は6ヶ月。
(中には発症から6ヶ月以上経っても回復の早い人はいるが 数回では良くならない。)
② [よぼよぼな]おじいちゃんから、 エロ親父に変身していた。
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